日本の「国防」の時代錯誤は北朝鮮と同レベル
今、日本の軍事力が、間違った方向に拡大しています。
維持費やミサイル費用を含めれば6000億円を超えるとも指摘されるイージス・アショア(イージス艦を用いた弾道ミサイル防衛システム)2基を筆頭に、最新鋭ステルス戦闘機F35を105機など、トランプ大統領を喜ばせるためにアメリカ製兵器の購入を次々に決めました。
その結果、防衛費は2019年度当初予算案では5兆2574億円まで拡大しています。
消費税8%の税収がおよそ22兆円(財務省ホームページより)ですから、その1/4に匹敵する額です。
その一方で、自衛官が使用するトイレットペーパーは1回当たりの基準を決められていて、実質的に自費でトイレットペーパーを購入していたというほど予算の配分が偏っています。
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日本の軍事力である自衛隊は、「国防」の目的においてのみ存在を許されています。
それは、「専守防衛」という厳しい行動規定に象徴されています。
専守防衛は、「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢」と定義されています。
歴代首相、防衛大臣は、専守防衛の境界を超える武器は購入しない、配備しないという姿勢をとってきました。
それは過去、「防衛費はGNP(国民総生産)の1%を超えない」という政権の“自主規制”として明文化されていました。
しかし海部元首相による自衛隊の“海外派遣”を機に、自衛隊は軍隊として世界中に影響力を及ぼす存在へと性質を変えられました。
政府は、2018年12月に新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画(2019~2023年度)」を閣議決定しました。
中期防衛力整備計画まとまる 中国を強く意識(13/12/12)
これには、長距離ミサイルの確保も盛り込まれました。
この方針を聞いて、真っ先に「北朝鮮みたいなミサイル外交だなぁ」と思いました。
今の政権にとっての最大の仮想敵国は北朝鮮でしょう。
この計画は、北朝鮮による攻撃への対処から始まっています。そのような発想から出てきた敵基地攻撃能力保有論は、専守防衛政策からの逸脱を招く危険性があります。
つまり、自衛のために先に攻撃して無力化するという、いつでも日本から攻撃して良い何でもありの状態に突入したということです。
過去に侵略を受けた中国や北朝鮮、韓国が緊張・警戒するのも当然でしょう。
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それでは、なぜこんなことになってしまったのでしょうか。
端的に言うと、「防衛政策、外交に詳しい議員がいなくなった」のだと思います。
現在の小選挙区制度では、有権者が強い関心を抱く分野の政策を訴えなければ当選できません。
大多数の有権者の関心事は社会保障や経済であり、防衛問題ではありません。だから、防衛問題に精通した議員がいなくなってしまったのです。
ですので、今の与党議員は、とりあえずこの本を読んでもらいたいです。
自衛隊の存在意義や専守防衛の定義、そして不可避な戦場で実際にどうなるのか。
大事なことがとても面白く学べます。
セリフや説明が多いですが、無理な方はアニメ版でもOKです。
出来はかなりいいです。
というわけで、今日本のメディアは、北朝鮮を見て「時代錯誤」と笑っていますが、日本もやっていることは同レベルと言っていいと思います。
争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない。