映画・音楽・本、そして政治オタク

何と言われようが、書きたいことを書こう。あなたも。

痴漢被害とスカートの長さの関係は? ~ハラスメントの実態を数値化する試みから考えよう~

評論家の荻上チキさんらが1月21日、厚生労働省で記者会見を開き、電車など公共空間やSNSでのハラスメント行為の調査結果を発表しました。

f:id:toshiyuki-terui:20190129153504j:plain

記者会見した小島慶子さん、永田夏来さん、荻上チキさん(左から)

調査は2018年9月、東京・千葉・埼玉・神奈川の1都3県に住む15〜49歳の男女27万1480人を対象に、インターネットで行ったそうです(有効回答数は1万1903人)。

ハラスメントのない未来を目指す「#WeToo Japan」によるクラウドファンディングなどで資金を集めて調査を行いました。

we-too.jp

-------------------------------------------

まずは、実際に性的被害に遭った人のデータです。
(拙いグラフで恐縮ですが、ご容赦ください)

f:id:toshiyuki-terui:20190129154433p:plain

「体を触られる」「性器など体の一部を直接見せられる」など何らかの被害を受けた経験がある女性は7割に上り、男性の3割を大きく上回っています。

電車内での痴漢被害経験と、スカートの長さや服装、通勤・通学時間との関係も調べています。
スカートの長さと被害の有無はほとんど相関がなかった一方、通勤時間が長く、私服よりも制服を着ていた方が被害に遭いやすかったそうです。

「本人がコントロールできない要因で痴漢被害に遭っていることが分かった。本人努力には限界があり、制服をなくしたり、社会に蔓延しているジェンダー差別をなくすことが、遠回りに見えても痴漢被害をなくす効果的な方法です」(荻上チキさん)

 制服を無くす、というのは効果があると思います。軍隊じゃないんだから制服を着る必然性がないし、何より“JKビジネス”などの性的対象になっている現状からすると、デメリットしかない気がします。

 

f:id:toshiyuki-terui:20190129155413j:plain

LINE、FacebookTwitterInstagramーー。どのSNSでもハラスメントはありますが、「不快な性的アプローチを繰り返された」経験はすべてのSNSで女性の方が多く、最も高かったのはTwitterで12.2%だそうです。

一方、「見知らぬ相手に誹謗中傷された」経験は、すべてのSNSで男性が女性を上回ったとのこと。最も高いのはInstagramで15.9%。

.......................................................

 ハラスメントや性的被害を訴えると、逆に被害者が責められることがあります。この調査からは、そんな現状と課題も浮かんだと言います。

「ワールドカップ開催中の渋谷など、人混みで痴漢にあっても仕方ない」と考える人は、男性で30.9%、女性で24.7%

「露出が高い服を着ている人は、痴漢にあっても仕方ない」という項目では、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した女性は男性を上回る45.6%で、女性の間でも意見が分かれたということです。

一方、こんなデータもあります。

f:id:toshiyuki-terui:20190129160149p:plain


そして、「何がセクハラか分からない」。
不快だと思う境界は、男女によって大きく異なることも明らかになりました。

例えば、女性の9割は「見ず知らずの異性から連絡先を渡される」ことを「不快」だと感じるが、男性の4割近くは「不快」だとは感じていません。
「自分の体を触られる」ことを不快だと感じない女性は1.6%ですが、男性では9.9%に上っています。

「男女の認識差はもちろん、同じ性別でも認識には個人差がある。数字は数字。少数派が多数派に合わせろ、というのではなく、どういう社会のあり方を目指すのか、という議論のたたき台にしてほしい」(永田夏来さん)

 「ほら、女性だって被害者に落ち度があると思っている、と数字を盾にとる人もいるかもしれない。そうではなく、『ハラスメントはいけないんだ』という前提を共有したうえで、なぜこんな風に考えてしまうんだろう、というところを議論したい」(小島慶子さん)

 =====================

私は、ハラスメントの認識をデータとして可視化したことは、とても重要で大事なことだと思います。

と言うか、こういうのって、国が真っ先にやる事じゃないの? と思ったりしますが、現在厚生労働省で発覚している賃金データ捏造・改ざんを見ると、もはや政府や役所は信用できません。

調査では、既婚未婚や子どもの有無、親との同居、学歴や年収なども尋ねていて、今後はさらに分析を重ねていく予定だそうです。とても気になりますね。

数値はあくまで数値。
それをもとに皆が自分の頭で、自分は人を傷つけていないか、傷つけないためにどうすればいいのか、考えなければならないと思います。