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体育が大っ嫌いでも輝ける「eスポーツ」にもっと盛り上がってほしい!

学校が楽しいのは、勉強ができるごく一握りの生徒だけ。
ましてや体育など、ほとんどの生徒が運動神経「中の下」ですから、楽しくない。
参加したくないという生徒がほとんどではないでしょうか。

そんな「スポーツは運動能力の高い人しかできない」という常識を覆しつつあるのが、「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」です。

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PCゲーム『Dota 2』の公式世界大会『The International 2017』より

日本でも、2018年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされているので、聞いたことがある人も多いと思います。

2016年に、「日本eスポーツ連合(JeSU)」

が発足したことで、公式に“プロライセンス”が発行されるようになりました。
対戦型のシューティングや格闘ゲーム、有名なところではぷよぷよ『ウィニングイレブン』でもプロによる大会が開かれています。


eスポーツMaX : 第1回ぷよぷよ達人決定戦◆決勝「Tom vs くまちょむ」

「eスポーツ」とは、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。

世界全体の競技人口は1億人以上、市場規模は1000億円を超えつつあるといいます。

2018年のアジア競技大会(ジャカルタ)では、デモンストレーション種目としてeスポーツが採用され、日本からも10名の代表選手が派遣されました。
2022年大会(杭州)では、正式にメダル種目として採用されることが決まっているそうです。

そして今年10月4日〜6日にかけて開催される茨城国体(国民体育大会)では、文化プログラムとして、グランツーリスモsports」「ウィニングイレブン2019」「ぷよぷよeスポーツ」が採用されました。

国が主催する日本最大の競技会にeスポーツが加わったのは、大きな進展です。

また、2024年に開催されるパリオリンピックパラリンピックの新種目としてもeスポーツの採用が検討されていると言われています。

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ただ、「これまで認められていなかった才能が認められることは良いこと」などの肯定的な意見もある一方で、「ゲームを“スポーツ”と呼ぶことに違和感」「汗水流して努力しているアスリートと同じとは思えない」といった否定的な意見も多く見られるのも事実です。

日本では、「スポーツ」というと身体運動を伴うものと捉えられがちですが、本来の「sport」には「楽しむこと・競い合うこと」といった意味もあり、そうした言葉の理解や受け止め方の違いによるところも大きいです。

でも、eスポーツに否定的な人は、ビリヤードをどう思っているのでしょうか。

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ビリヤードにはもちろんプロがいます。様々なルールがありますが、最もメジャーなナインボールだと、先攻を取られた場合、そのまま全ゲーム撞き切られて自分はずっと座ったまま、というシーンもよくあるのです。

これを、「体を動かさないからスポーツじゃない」とは誰も言えないでしょう。

これは、「静と動」という競技の性質によるもので、一般的な陸上競技や球技しかスポーツと言うものを知らない無知から来る先入観でしかありません。

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World Championship Spotlight: East Asia (2017) より

日本でeスポーツが普及しきれていないもう一つの大きな要因が法律上の問題です。

eスポーツに大きく影響する法律が、刑法(賭博及び富くじに関する罪、以下賭博罪)風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律(以下、風営法)の2つです。

賭博罪では「偶然の勝敗により、財物・財産上の利益の得喪を争うこと」が禁止されており、eスポーツの大会において参加費を徴収し、賞金を提供した場合、これに該当する恐れがあるのです。

これが賞金の高額化や、収入が限定されるためプロとして自立できないなど、大会の開催を妨げる要因となっています。

風営法についても同様で、「ゲーム機を設置し、店舗を構えて営業する」場合には、ゲームの結果に応じて景品を提供することが禁じられており、大会の開催を妨げています。

確かにゲームセンターの営業時間も風営法に準じています。

でもここで疑問に思うのは、「競馬やカジノはいいのに、何でeスポーツはダメなの?」という事なんです。

 

それはたぶん、「スポーツ」の概念が拡張されることで、「体育なんてなんの根拠もないじゃん」という、教育での既成の価値観の崩壊が起こることを快く思っていないからではないかと思います。
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プロゲーマーの人たちも、アスリートと同じように、汗も、血も、涙も流しています。

日本にも、日本人初のプロゲーマーであるウメハラ(梅原大吾)選手や、東大卒プロゲーマーという異色の経歴を持つときど(谷口一)選手のようにスター選手は存在するものの、今はまだゲーム界のスターにすぎないのは事実です。

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ウメハラ選手、ときど選手(左から)


eスポーツの「楽しさ」や「競技性」、さらにはeスポーツで生計を立てるプロゲーマーの存在を、正しく伝えていくことが欠かせないと思います。

プロゲーマーたちは、ゲームで遊んでいるのではなく、より高みを目指して闘っているのです。

オリンピック・パラリンピックの種目としての採用については、プロゲーマーたちは、「どうでもいい」と思っている人がほとんどです。
目の前の大会などでそれどころではないんですね。


国際オリンピック委員会会長(IOC)は、eスポーツはオリンピックの価値観に矛盾しており受け入れることはできない(「Killer Games」は暴力を助長するから)と発言しています。
だったら実際に殴り合うボクシングはどうなのか、という話ですよね。
バンクーバー五輪では、リュージュの競技で痛ましい死亡事故がありました。

www.asahi.com

また国際カジノ研究所では、オリンピックに採用されない理由として、ゲームソフトメーカーの著作権が問題になるとしています。
と言うか、オリンピック自体商業イベントなので、単に利権の問題ではないかと。
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私は、勉強も体育も苦手で、「またゲームやってんの!」と怒られていた人たちが輝けるeスポーツには、大きな可能性があると確信しています。

“総活躍社会”なんてスローガンは要らないから、平等なチャンスが当たり前の社会を!

(2019/2/2:国体について加筆)