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マイケル・ジャクソン告発ドキュメント映画の衝撃 ~虐待の本質~

1月25日、アメリカのユタ州・パークシティで開催されたサンダンス映画祭で、マイケル・ジャクソン(以下:マイケル)の児童性的虐待の疑惑について語られた、4時間のドキュメンタリー映画がプレミア上映されました。

www.huffingtonpost.com

なぜか、サンダンス映画祭の公式サイトには掲載されていないのですが、これは、2019年に米ケーブルテレビHBOで放送予定の『Leaving Neverland (リービング・ネバーランド)』というドキュメント映画です。

ネバーランド」は、一般的には「ピーターパン」の舞台として知られていますが、一方マイケルが1988年、カリフォルニア州サンタバーバラ近郊に3,000エーカー(約367万坪)の広大な土地を購入し、列車の線路を敷き、動物園、遊園地を作り、「ピーターパン」の舞台である大人にならない島をイメージして建設されたもの、としても有名です。

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上映された『リービング・ネバーランド』は、マイケルの過去の栄光にほとんど触れず、ほぼ全編において告発者の2人、子供の時にマイケルに性的虐待を受けたと訴えるウェイド・ロブソンさんとジェームズ・セーフチャックさんを中心に描かれているそうです。

映画祭の責任者は、この映画が観客の過去のトラウマなどを引き起こすトリガーになる可能性があるとして注意し、必要に応じてすぐ対応できるようにメンタル・カウンセラーをロビーに待機させたと言いますから、かなり衝撃的な内容だったのでしょう。

実際、観客は休憩中、ショックで館内を歩き回っていたり、一部は、あまりにも衝撃的な内容に、上映後の質疑応答まで残れなかったと言うことです。

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上映当日は、マイケルのファンたちが上映に抗議するプラカードを持って会場前でアピールしましたが、大きな混乱はなかったようです。

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マイケルの言葉、「Lies run sprints, but The truth runs marathons.(嘘はあっという間に伝わるが、真実が伝わるには時間がかかる)」は、含蓄ある言葉ですね。

ジャクソンファミリーはこの映画について、「公開リンチだ」と批判しています。

「みんなマイケルを悪者にしたがります。彼がユニークだから。彼は完全なる捜査を受けました。突然のネバーランド強制捜査や、陪審裁判も...そして完全無罪と判決が出ています。この件に関してひとつも証拠が出ていないのです。それなのにメディアは嘘の告発を信じようとするのです」

 と声明で述べました。

ちなみに“ユニーク”は、外来語として使われている「面白い」や「珍しい」というニュアンスではなく、もともとの「唯一の」「他に例を見ない」という意味です。

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2005年の裁判では、ロブソンさんもセーフチャックさんもマイケルから性的虐待を受けなかったと証言しました。

しかし後になり、彼らが昔マイケルにされた事が何だったのかを理解し、ジャクソンの会社を訴訟しようとしたが、不成立で終わった経緯があります。

確かに、自分が受けている行為について、子供が「性的虐待かどうか」なんて判断できるはずがありません。
おそらくは、マイケル自身も自分のしていることが性的虐待であるという自覚はなかったのではないかと思います。

だからこそ、被害者の声には真摯に耳を傾けなくてはならないと思います。

 

質疑応答でセーフチャックさんは、彼もロブソンさんもこの映画に参加するにあたり、製作側から金銭を受け取っていない、と強調しました。

参加したのは、同じような経験をした人に少しでも癒しを与えたいから、と語りました。

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マイケルは、ポピュラー音楽史に残る大スターです。
しかし、この映画を観た、子供の時に性的虐待を受けたという観客は、ロブソンさんとセーフチャックさんは

マイケル・ジャクソンよりずっと世界に良い変化を与えるだろう」

と言いました。

ずっとネバーランドにはいられないのですね。