日本での就職「面接」、在日外国人が感じた“疑問”から見えたもの。
訪日・在留外国人向けの情報サイト、「LIVE JAPAN」で興味深いインタビューが載っていました。
フランス人男性が日本の会社の面接を受けてショックだった7の理由 - LIVE JAPAN (日本の旅行・観光・体験ガイド)
タイトル通り、ビデオゲームの翻訳を行う会社に勤めるフランス人男性に、日本で仕事の面接を受けた時に、フランスとどのような違いがあったかのインタビューです。
「新卒一括採用」など独自の慣習がある日本で働くにあたり、外国人がどう感じたかはとても興味深いものがあります。
かいつまんで見ていきましょう。
●日本は面接が多すぎる
「面接の回数の多さには本当びっくりした。え、まだやるの!?って思ったよ。中小企業でも2、3回面接をするところが多いよね。フランスは基本1回で終わるよ。そんなに会わないと判断できないのかな、って思っちゃう」
日本での平均面接回数は約3回というデータもあります。
大きな企業だと、8回、10回というケースも報告されています。
「話せばわかる」とはいえ、ここまで行くと非効率的と言わざるを得ません。
●履歴書にフォーマットがある
「日本は履歴書にフォーマットがあるよね。いろいろな枠があってその中に経歴とかを埋めていくけど、フランスにはそういうフォーマットがないんだ。まず履歴書で選考されるのに、なぜ個性を出せるようになってないのかが不思議だよ」
日本ではJIS規格の履歴書用紙があり、企業によってはそれ以外はダメ、というところもあります。
フランスで履歴書を作るときは、全てが自由。どんなデザインにしても、どんな順番にしても構わないそうです。
フォーマットなく自由に書けることで、自分がどういう人間なのかデザインや文章でアピールできるそうです。
コンビニでも売っているほど浸透している履歴書用紙ですが、「みんなと同じじゃないとダメ」というきわめて日本的で特殊な慣習だと言えそうです。
●履歴書に証明写真を貼ることにショック
「証明写真を載せるってことは、まずフランスでは人種差別の問題になる可能性がある。日本ではまだまだ外国人も少ないし、人種差別があまりないにしても、やはり容姿が採用基準のひとつになってしまうところもあるんじゃないかな。それは正しい判断基準ではないと思うよ」
人種や容姿で採用されないように、多くの国が写真を載せない方法を採用していて、証明写真を載せている日本は珍しいそうです。
言われてみれば、履歴書に貼る写真をきれいに補正してくれる撮影機など、「まず見た目でふるい落とせ」という誤った選考に迎合するものですよね。
●履歴書の手書き文化にショック
テクノロジーが発展しているイメージが強い日本ですが、まだ手書きを好む会社があることが驚きだそうです。
手書きだとその人の性格などが出ることがあるため、それも判断の一部にするという考えがあるようですが、パソコンの方が効率も良いので、正直面接を受ける側としてはweb履歴書に移行してほしい
とのことでした。
確かに1回ですんなり決まることは難しいので、何枚も履歴書を書くことになります。
せっかくインフラとしてネットが普及しているのですから、お互いに活用した方が良い結果になるはず。
個人的な印象では、「手書きのみ」という企業は、ワンマン経営であることがままあります。
●面接官が多すぎる
「自分のために何人も面接官がいるなんて、何事かと思ったよ! フランスでは面接官は基本1〜2人だけだからね。そんなにいっぱいいたら、人件費の無駄じゃないかなって勝手ながら思っちゃったよ」
日本では1人の意見に偏らないように面接官を数人用意しているなどの理由があるようです。これは文化的な違いと言えそうです。
私の経験では4人の面接官がいたことがあります。
そういう意味ではきめ細かい、と言えるかもしれません。
●日本はスキルがなくても仕事が手に入りやすい
「未経験は一番仕事にならないから、大学卒業後は本当に仕事探しが難しいんだ。でも日本は違うよね。良い大学に入っていれば未経験でも合格できるイメージ。フランスは経験を積んでいかないと欲しい仕事にはなかなかつけないから、うらやましいよ!」
これは日本の就職事情を象徴する大きな特色ですね。
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総じて感じたのは、履歴書用紙に象徴されるように、日本での就職では、
「自由に個性をアピールし辛い」
ということですね。これは国籍を問いません。
非効率なのは改善の余地がありますが、自由に関しては日本文化の根深い部分なので、なかなか変わらないでしょう。
新卒一括採用で他人と同じレールを進めるのは一見楽なように思えますが、問題はそこからドロップアウトした人がパージされていってしまう事ではないでしょうか。
出産、病気、事故、災害――これは誰にでも起こり得ることです。
「人手不足」と政府やメディアは騒いでいますが、それはこれまでの日本的企業体質が行き詰まり、「なるべくしてなった」事で、それを放置していた経済団体や政府の責任です。
法務省の統計によると、今では約250万人の在留外国人が日本で暮らしています。
今後も増えていくでしょう。
「自由と平等な機会」を広げていかなければ、日本の衰退は加速していくばかりとは思いませんか?