【継読メモ】日本人対朝鮮人 ~永六輔さん&辛淑玉さんの対話から学ぶ大事なこと~
また返却期限までに読了できなさそうだけど重要な本があるので、メモと記録を残しておきます。
『日本人対朝鮮人 決裂か、和解か?』
永六輔 辛淑玉
光文社(1999年)
タイトルは物騒ですが、きちんとした対談本です。
これを読んでいる最中に、韓国と自衛隊との「レーダー照射」問題が起き、図らずもタイムリーな本となりました。
永六輔さんは、随筆家、作詞家、タレントとして活躍した、日本を代表する文化人です。坂本九の『上を向いて歩こう』の作詞をした人、と言えば納得でしょう。
2016年に亡くなりました。
辛淑玉(シン スゴ)さんは、人材育成コンサルタント、「在日外国人・留学生、国際交流、行政への改策提言」を活動分野とする政治活動家で、現在60歳。
のりこえねっと(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク)の共同代表を務めています。
この2人が、日本に住む日本人と韓国(朝鮮)人として、日本と朝鮮の関係を生活習慣や日常のレベルから本音で語り合っているのが本書です。
ちょっと驚いたのが、浅草に生まれて、在日朝鮮人の方とも親交があり、安保反対と言っていた永さんでさえ、私たちと同じような偏見を持っていたことです。
でも、永さんは桜が朝鮮から入ってきて、唐辛子が日本から韓国に渡ったことも知っていて、
「日本人は桜を美しく感じるし、韓国人はキムチを毎日美味しく食べる。そこに戻ればいいんじゃないか」
ってちゃんと言ってくれる。
本当に、そこに尽きると思います。
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辛さんは、通名を“新山節子”と言います。
節子は、当時絶大な人気があった女優の原節子さんから取って、新山は、音読みで「シンさん」と読めるようにつけたんだそうです。
「裏読み」と言って、1910年に韓国が日本に併呑されて日本名への創氏改名を迫られたときに、当時の朝鮮人たちが、少しでも本当の名前が残るようにと工夫した結果だそうです。
日本の外交について、辛さんは「日本人は、みんなに好かれたいと思う」からうまく行かないのではないかと言います。
「無理に仲良くする必要はない。ふだんは悪口を言い合っていても、緊急時には助け合う。そんな“悪友”みたいな関係でいいのでは」
確かにそう思います。
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日本書紀の新羅征伐(199年ごろ)から、豊臣秀吉の朝鮮征伐、そして西郷隆盛による征韓論と、ここ千数百年にわたって、朝鮮を「征伐」して滅ぼそうという大きな戦が続いています。
「征伐されるような悪いことを、何か朝鮮がしたんでしょうか」
と言う辛さんの疑問には、誰も答えられないのではないでしょうか。
まだ序盤なのにこの濃さです。
ちなみに、辛さんは日本の小学校から朝鮮学校に編入したので、「思想的問題児」とされていじめられていたそうです。
日本人でも朝鮮人でも、嫌いなやつは嫌い、と言っています。
また続きを読みたい本ですね。