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ジレットのカミソリより鋭い「男らしさ」再考

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カミソリでおなじみの米国の会社 Gilletteジレット)のCMが、世界中で物議をかもしています。

このCM動画は、同ブランドを展開するプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)による「We Believe」キャンペーンの一環で制作されたもので、ジレットのキャッチコピーである「The Best A Man Can Get(男性が得られる最高のもの)」に立ち返り、男性たちに対して自分の「最高の姿」とは何かについての再考を促すものとなっています。

問題のCMの公式ツイートは20万回以上リツイートされ、50万近い「いいね」を獲得。YouTubeでは1600万回も再生されています。
その反面、ツイッター上では「#BoycottGillette」ハッシュタグとともに不買運動も進行中と、さまざまな反響を呼んでいます。

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CMのタイトルは「We Believe: The Best Men Can Be」
2017年の終わりごろから世界中で爆発的に広まった「#MeToo運動への支持を表明するキャンペーンの一環で作成されたものです。


We Believe: The Best Men Can Be | Gillette (Short Film)

昔から「男らしい」と賞賛されたもの、あるいは「男にありがち」、あるいは「男だから」と容認されてきた行動のうち、暴力性や女性軽視にあたるものを批判していく構成になっています。例えば、

  • 女性のお尻を触って笑いをとる男性コメディアン
  • ビジネスの場にて、女性の意見を、女性の本意とは違うものに言い直す男性
  • 殴り合いの喧嘩をする男の子たちと、それを「男はそういうものだ」と言って止めない父親たち

と言ったものが、“有害な男らしさ”として挙げられています。

これに対して、インターネット上ではたくさんのコメントが寄せられています。

・Real men don’t get their feelings hurt from a commercial saying it’s not cool to be a dirt bag…. y’all need to chill and go outside or something.
まっとうな男なら、「クソみたいな振る舞いはクールじゃない」ってCMに腹を立てたりしないぜ。みんな頭冷やせよ。ニック・レンツ氏(格闘家)

・Isn’t it time companies STOPPED PISSING OFF THEIR CUSTOMERS and kissing the asses of liberals? I know I won’t be buying your products any longer.
リベラルにすりよって客をバカにすんのはやめろよ。もうお前のところの商品は買わねぇからな。

Watch as your sales plunge. Guaranteed.
お前のところの売り上げがガタ落ちするのを眺めてな。デビッド・ウォール氏(トランプ大統領の選挙支援団体関係者)

・I just wanted to say that I’m sorry about how awful some people can be. And I appreciate your ad and will continue to use your razors.
醜い振る舞いをする人たちのことは残念に思うよ。あのCMを出してくれてありがとう。今後もジレットのカミソリを使うよ。

・このCMスゴく良いと思います。因みに私は男性です。

・これが男性用商品を作ってるメーカーのCMとして出てきてくれたことが本当に嬉しい

・This is nothing but racism and manbashing. So never buying Gilette for my husband and sons again!
これはただの男性批判。夫と子供用にジレット製品は二度と買わない。

 やはり男性用商品の代表ブランドであるジレットからのメッセージであることが、より大きな衝撃を与えていると思います。

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P&Gのデーモン・ジョーンズ副社長(グローバルコミュニケーション・アドボカシー部門担当)は、フォーブスの取材に対して、

「私たちは、全ての男性が悪者だと言いたいわけではないし、特定の個人の誤った姿を伝えようとしているわけでもない。私たちが伝えたいのは、一つの共同グループとして皆で粗悪な振る舞いを減らし、良い振る舞いを増やそうではないかということ。これこそが、このCMの裏の大きなメッセージだ」
「いくつかの行動を非難することで、男性らが互いに責任を持って、より高い基準を守れるようにしたかった。そうすることが男性、女性、そして社会にとって良いことだと考えている」

と語っています。

私も、少し時間を取って、鏡の中の自分を見つめるような時間を持ちたいと思います。
これは性差に関係なく、誰もが顧みるべき鋭い問題提起ではないでしょうか。